4.1.5 SUS鋼の熱的性質について
表1は代表的なSUS鋼の熱的性質を示しています。これから分かりますように、オーステナイト系SUS鋼の熱膨張係数はフェライト系SUS鋼よりも約1.6倍大きく、熱伝導率は約0.65倍です。すなわちオーステナイト系SUS鋼は一般の鉄鋼材料よりも熱が伝わり難く、加熱により大きな膨張を示します。これは逆に言えば一旦加熱されてから冷却する時には大きく収縮するということになります。市販のSUS304鋼と異種金属の溶接やろう付けで膨張係数に大きな差がある場合はSUS鋼の鋭敏化が生じ、冷却時(収取時)に割れ発生などの原因になることがあるため十分な注意が必要です。